原発のない社会をめざして TPP交渉参加、”社会脳破壊”? 3・11から2年目の荒涼たる日本政治の風景

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TPP交渉参加、”社会脳破壊”? 3・11から2年目の荒涼たる日本政治の風景

原発のこととは直接関係はありませんが、TPP参加を決めた阿部政権に代表される日本の現状の政治に対する高野孟氏の意見です。以下は転載です。








【TPP交渉参加、”社会脳破壊”? 3・11から2年目の荒涼たる日本政治の風景】
(『高野孟のTHE JOURNAL』より抜粋)

日本人は「社会脳」が壊れているのかもしれない、とさえ思う。認知症の診療に長年携わる札幌市・勤医協中央病院の伊古田俊夫名誉院長は、他人の喜びや悲しみを表情から感じとる、自分の怒りや欲望を抑える、自分の言動を振り返るなど、社会生活を円滑に営む上で欠かせない「社会脳」という脳の機能の低下が、認知症の症状につながると言う(読売新聞)。

脳の中で社会脳に関係するのは「前頭連合野」という部分で、その中でも特に、共感や社会性を司る前頭葉内側面や、感情や欲望を制御する前頭葉基底部の血流が低下すると、食べたいものを見つけると店の中でも食べてしまうとか、周囲の人を平然と無視するとか、ささいなことで怒り出すとか、いろいろな症状が出る。論理的な思考や課題の遂行など知能を担う前頭葉外側面がやられると、時間や場所の認識が混濁して、自分が何をしているかわからなくなる「見当識障害」が出る。定年退職して何年も経つのに「仕事に行く」と言って背広を着て出て行ったり、今食事をしたことを忘れてまた食べてしまったりする症状だ。

日本人は、もちろん個々には頭脳優秀かつ明晰な人が多いのだが、外から遠目でこの国を見ると、集団的な社会脳が壊れかけているかのように見えるのではないか、と不安になる。あれだけたくさんの自民党議員が「TPP反対」を唱えて当選したのに、わずか1週間の議論であっさりと容認を決議するというのは、前頭葉が壊れていなければ出来ないだろう。「脱退を辞さない覚悟で交渉に当たる」という原案を「脱退を辞さないものとする」に書き換えたことをもってよしとするなど、国民を愚弄した戯れ言である。

安倍晋三首相が1952年のサンフランシスコ講和条約の発効を記念して「主権回復」を祝賀する式典を、天皇皇后のお出ましまで頂いて、4月28日に執り行うと言い出したのも、耳を疑うような話である。サ条約は、旧日米安保条約およびその実質的な中核である日米地位協定による米軍による事実上の半占領状態の受け入れと表裏一体となったもので、日本国民にとっては、主権を完全回復するのに失敗して新たなる対米従属構造に組み入れられた屈辱の日である。ましてや沖縄はじめ奄美、小笠原諸島はこの日を以て米軍の施政権下に改めて売り渡された屈辱どころか怨念の日であって、いったいどういう神経でこの日を祝おうなどと思うのか。

恐らくは、「日本はとっくに主権を回復しているんだ」ということを今一度国民に思い出させて、「だから米国の押しつけの憲法を改めて自主憲法を作るべきなのだ」というところに繋げていきたいという気持ちからのことだろうが、そうだとすると、やはり日本の政治は、前頭葉内側面が十分機能せずに国民や沖縄県民の気持ちなど目に入らなくなり、おまけに前頭葉基底部もダメで改憲という衝動をどうにも抑えられなくなっているのではないか。まともな思考が働いていれば、まずは主権侵害の根源である日米地位協定の全面改定に着手し、沖縄の普天間基地移転の膠着とオスプレイ配備への怒りを抜本的に解消して、真の主権回復に取り組まなければならないはずである。

もう1つ心に残った言説は、経済学者=中山智香子の「人間の使い捨てが新自由主義の本質で、アベノミクスはそれと同じ」という指摘だった(毎日新聞)。

器用にカネを儲ける奴が偉いというのが新自由主義である。冷戦が終わって、1990年代を通じて米国の唯我独尊的な新自由主義がグローバル化と経済の金融化の波に乗ることで暴力性を強めた。その反動が2001年の9・11であって、そこで我々は成長至上主義の危うさに気づくべきであったが、そうはならず、米国はすぐさまアフガニスタンやイラクに軍隊を送り込み、凶暴化した新自由主義がカネの暴走を招きリーマン・ショックを引き起こし、強きを助け弱気をくじく“経済ジェノサイド”が横行する。

「3・11を経て経済のありようが問われているにもかかわらず、アベノミクスはおカネをばらまいている。おカネがいつまた暴走を始めるのか、誰にもわからないのに。しかも原子力に頼ろうとしている」

つまり、9・11も、アフガン・イラク両戦争も、リーマン・ショックも、3・11も、どれもがカネカネカネの世の中を根本から見直す機会であったのに、世界も日本もそれを1つとして活かすことが出来ず、その結末として今のアベノミクスやTPP参加表明がある。

どうすればいいのか。「宮沢賢治の『雨ニモマケズ』にヒントがある」と中山は言う。

「皆にデクノボーと呼ばれ、ほめられもせず苦にもされず。人と自分を比べようとしない。前に進むばかりがいいのではない。何かおかしい、変だなと思ったら立ち止まる。つじつまや帳尻を合わせるのがうまい器用者ではなく、不器用な生き方です」

そう言われて読み直すと、賢治の詩文はそのまま、カネカネカネの世の中に向かって何事も前のめりに突き進もうとしている安倍に対する根源的なアンチテーゼとも読める。安倍は皆に利口者と呼ばれ、ほめられ注目を集めたい。過去3代の首相と比べて自分を際立たせたい。前に進むことだけを考えて、何かおかしい、変だなと思っても立ち止まらない。つじつまや帳尻を合わせるのが下手な不器用者ではなく、器用な生き方をしたい……。

こうした安倍政権の(明治以来145年という物差しで見れば)新富国強兵路線、(冷戦終結以来25年という物差しでは)新自由主義的ジェノサイド路線とに対して、民主党は壊れてしまったし、野党はバラバラで、みなこの部分は賛成だがこの部分は反対とか言っているだけで、「身の丈に合った小国」「目先の利にとらわれず、自立した精神を持つ人間の国」として「精神的な豊かさ」を追求するような新しい生き方の選択、あるいは中山の言うような「デクノボーの生き方」の提示を担えるような政治勢力はどこにも存在しない。3・11から2年目の荒涼たる日本政治の光景である。

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彼岸花さんへ

彼岸花さん、おはようございます。
季節の変わり目なので、お体の調子が悪いのではないかと心配していましたが、
どうやらお元気そうで安心いたしました。

高野孟さんという方は、鴨川自然王国などにも関わって、
半農半ジャーナリストを自称されていますよね。
当然…原発にも反対をしていて、注目すべきジャーナリストの一人だと思います。

だいぶ古い動画で、私もブログで紹介しそびれてしまったのですが、
野田元総理が大飯の再稼働を決めた時の映像があります。
お時間と興味があればご覧になってください。

http://youtu.be/8CGe4cfOaYM

台湾の反原発CM、ぜひ使っていただければありがたいです。
一人でもたくさんの方に見ていただけるといいですね。
いつもありがとうございます。合掌

No title

うみそら居士さん、こんにちは。

『荒涼たる日本政治の光景』……
まさにその言葉一言が、この国の現状を表していますね。
その荒涼とした風景の前で絶句してしまいます。

厳しい論調の文だと思いますが、それでもまだ言いたりないと思うほど、
あちらでもこちらでも、日本社会の抱えていた問題が膿のように
じわじわと滲みだしている…
そしてその根幹にある脳は、『社会脳』が壊れたかとしか思えないような
思考停止ぶりです…
書きたいことが山ほどあるのに、私の脳も少し『言語分野』が
機能拒否気味!(苦笑)

最新記事の台湾の反原発CM。
短い中に良くことの本質を表した優れたCMですね。
これ、ぜひ、使わせてくださいね!

本当に…どうして台湾の人々にこのようなことが出来て、日本では
このような動きが生まれないのでしょう…
3月11日のデモも、台湾の方が人数が多く熱かったようでしたし…

借りものでもいい。このCMのように直に人の心に訴える情報、
そして、うみそら居士さんのように、原発と再生可能エネルギー、
TPPのことも基本をよく知らぬまま、日本にとって必要だろう、など
思っている多くの人々に、親切な情報広く流して伝えていくことが
大事ですね。
いつもありがとうございます。





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