原発のない社会をめざして 科学者が信頼されない国 政策研究大学院大学教授・有本建男さん

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科学者が信頼されない国 政策研究大学院大学教授・有本建男さん

だいぶ古い記事になってしまいましたが、1月24日の朝日新聞に政策研究大学院大学教授・有本建男さんの非常に良い意見が掲載されていたので、今回はそれをご紹介いたします。以下は転載です。









【科学者が信頼されない国 政策研究大学院大学教授・有本建男さん】
朝日新聞 2013年1月24日

■危機に先頭にも出ず、責任感も不十分。社会にとって不幸

科学者や技術者への信頼が損なわれるきっかけとなった、東京電力福島第一原子力発電所の事故からまもなく2年になる。信頼回復には道遠く、専門家への不信感もぬぐえていない。科学技術行政の現場から大学に転じた有本建男さんは「科学者や専門家が信頼されない社会は不幸だ」と言う。どう立て直すのか、今後の課題を聞いた。

ーーそもそも、なぜ信頼が失われたと思いますか?

原発事故に加えて、事故後の科学者や技術者のふるまいが大きかったと思います。危機のときは、専門家の知識や経験を総動員して対処すべきですが、その先頭に立つべき立場にあった人たちの言動からはその責任感が十分には感じられませんでした。政府内から学会まで、科学者たちの組織も、積極的に動こうとせず、多くの人の目に触れたのは、テレビなどで個人的見解を披瀝するばかりの人たちでした。まっとうな専門家も大勢いたはずで、そうした人たちが事故に関する情報を得て冷静な議論をし、発信できたらよかったのですが。結局、個人の資質に加え、専門家の知恵をうまく動員する仕組みがなかったことが響きました。市民が一番必要としていたときに役割を果たせなかったのですから、信頼が失われて当然です。

ーーそれが。専門家そのものへの不信につながっています。

日々の生活から、環境・エネルギー問題、そして経済や外交に至るまで、社会活動の全般にわたって、科学技術は大きな影響を与えています。さまざまな政策決定に、専門知識を持った科学者や技術者の役割は本来、不可欠なはずです。彼らが信頼されず、原子力規制委員会の人事をめぐる議論でもあったように、ともすれば排除の風潮すらあることは、社会にとって不幸であることはもちろん、日本という国自体が海外から「信頼できない国だ」とみなされるのではないか、と心配しています。科学技術の基盤とそれを支える思想がしっかりしていることは、一国の社会と経済が安定的に展開していくための重要な要素とみなされているからです。日本の現在の状況には海外の関心も高く、これからどうなるのかとよく尋ねられます。

市民からの科学不信に接するなかで、日本における科学や技術のあり方が根本的な変革を迫られていることを痛感しています。信頼を回復するのは険しい道ですが、地道に立て直していかなければ。

ーーどうすれば良いと。

まず、科学者とその集団の思考の枠組みや価値観を変えることです。相変わらず「論文か死か(publish or perish)」という古い価値観にとらわれている研究者が多い。社会や学問体系の中での自分たちの位置を明確に意識し、公共、公益についての深い思考が求められます。そうした研究者を育てるには、評価の仕組みを変え、研究プロジェクト予算の一部は、社会とのコミュニケーションや社会への影響評価などに充てるよう義務付けることも必要でしょう。研究者は研究だけしていればいい、というわけではないのです。

(中略)

ーー意識を改めて、どうするのですか。

社会や政治とつなぐ仕組みを築くことです。欧米諸国には、エネルギーから国土の安全、農業に至るまで国策全般にわたって、科学的根拠に基づいた選択肢を示し、それをもとに政治が判断する仕組みがあります。科学顧問を中心に専門家の知恵を集めて政府に助言し、政府は必ずしもそれに従わなくてもいいが、その場合は理由を明らかにする、といった手続きも決まっています。たとえば、ドイツの指針には、科学者が助言する場合の独立性、透明性の原則があります。さらに、政策助言における知識は学術的な知識を超えることが必要とあります。

欧米の議会には、科学や技術を評価する機関があります。原発事故をめぐって国会に初めて事故調査委員会ができましたが、これからは、国会にも科学技術をきちんと評価する役割が求められると思います。

ーーそれがなかったわけですね。

決定的に欠けていました。日本の科学や技術は大変立派だが、社会や行政、政治の中で生かすための仕組みが機能していないのではないか。日本の実情をよく知る外国人にいわれたことがあります。科学的な判断ができ、組織運営にも通じた実務家が日本では評価されていない、との指摘もあります。

(中略)

ーー市民の側はどうでしょう。

3・11後、多くの市民の声が寄せられました。その中に、科学への興味をなくし、科学者だけに任せていた社会にも問題がある、という声がありました。昨年の科学技術白書によれば、3・11以後、市民は科学技術の方向について科学者だけで決めることに不安を感じています。市民も自分の問題として考え、議論に参加することが求められています。率直な議論ができるような環境が必要です。科学者は市民の不安を重く受け止め、限界も含めて科学について社会に伝えていく。社会的な問題に対して積極的に助言する。そうした活動を通じて、信頼を少しずつ取り戻していくべきです。

ーー日本に科学や技術が重要であることに変わりはありません。

社会から持続して信頼と支持を得られるよう、努力していかねばなりません。不信の渦の中で科学者たちが小さくまとまっていくとしたら、それほど悲惨なことはない。被災地の復興や原発事故への対応、経済の再生など課題は山積みです。

(中略)

私は、科学者や技術者はもちろん、市民や政治家、企業人などが分野や組織を超えて、科学技術と社会のあり方を継続して議論する場をつくることに貢献するつもりです。

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