原発のない社会をめざして この国はどこへ行こうとしているのか 永六輔さん(80)

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この国はどこへ行こうとしているのか 永六輔さん(80)

毎日新聞に、永六輔さんのとても良い言葉が載っていましたので、今回はそれをご紹介させていただきます。
以下は転載です。








「この国はどこへ行こうとしているのか」 ◇国の夢、愛すればいい−−永六輔さん(80)
毎日新聞 2013年5月23日

◇戦争のがれきは津波の比じゃない 9条を考えるため恐ろしさ伝えないと

TBS(東京・赤坂)の正面玄関から車椅子に乗った永六輔さんが現れた時、その姿は小さく見えた。パーキンソン病と前立腺がんの治療を続け、2011年暮れには大腿(だいたい)部骨折で入院した。「病気でね、思っていることがうまく口にできないかもしれません」と切り出され、一瞬不安がよぎった。だが、局内の喫茶店で向き合うと、物柔らかで飾らないトークは健在だった。


「もう50年近く前になるけれど、ラジオの深夜放送で憲法全文を朗読したことがあります。深夜で誰も聞いていないと思ったし、ならやってみようと」。放送実験のような憲法朗読を昨日のことのように語り始めた。

「読み終えるまで2時間以上かかりましたが『日本の放送局なんだからいいじゃないか』という気持ちでね。放送中、『今の条文の字はどんな字を書くのか』『どういう意味か』という問い合わせの電話がものすごかった。言葉が難しいんですよ。ですから中学生が読んで理解できる文章に、耳で聞いて分かる憲法に改正すべきです。その立場で言えば私は改正反対ではありません」

60年以上にわたってラジオとともに歩いてきた永さんは、耳から頭に入って理解することの大切さをまず説いた。政界では自民党を筆頭にする改憲論が勢いを増している。永さんは再び憲法を朗読したいのでは?

「いいえ。お元気だったら、女優の岸田今日子さんに読んでほしかった」。岸田さんはゆったりとした声を持つ名優で、アニメ「ムーミン」の声でも知られる。生前は護憲運動に参加し、永さんと親しかった。「彼女ならば難しい条文も伝わります。聞いた時、涙が出た。

心に染みるように読む人がいる一方、心に響かない人もいる。官僚が書いたメモを基に答弁するような政治家が憲法改正の必要性を述べても何も伝わりませんね」

こう話した後、憲法99条を暗唱した。<天皇又(また)は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ>。正しく言えたか確認するかのように私のメモに目を向けた。

「憲法を変えてはいけないという条文です。天皇陛下といえども変えられない。それなのに国会議員が変えると言い出すのはおかしいでしょう。

聖徳太子の『十七条憲法』はそもそも役人に守らせる規則でした。その精神が今の99条に残っている。99条を守ることは9条はもとより憲法を守ることなのです」。持論を話す口調が次第に熱を帯びてくる。

16日の衆院憲法審査会で、自民党は憲法尊重擁護義務の対象を「全ての国民」に広げるように主張した。永さんは真っすぐ私の目を見つめた。

「国民に義務を課すなんてちゃんちゃらおかしいですよ。憲法は国民を守るためのルール。それなのに99条を変えると言い出すなんて、政治家が憲法を勉強してこなかった証しです」

一呼吸置いてこう続けた。「憲法は『この国をこうしたい』ということが書いてあります。政治や外交の実務と違い、憲法は夢でいいんです」

思わず「夢なんですか?」と聞き返した。すると表情を和らげ「憲法はね、こうありたいという夢なんですよ。簡単に書き直したり補足するものじゃない。だって夢は改正したりするものじゃないでしょう」。

憲法=夢論。「井上ひさしちゃんと憲法対談すると何かと宮沢賢治が出てきた。『雨ニモマケズ 風ニモマケズ−−』。これは東北の人にとってこうありたいという憲法だと思う。壁にぶつかった時に立ち返るところなんです」

永さんは戦時中、空襲や学童疎開を経験した。だからこそ「新しい憲法はキラキラと輝いていた」し、国の夢と受け止めた。同じく戦争を知る作家の井上さん、小沢昭一さん、野坂昭如(あきゆき)さんらとシンポジウムなどを開き、平和の大切さを訴えてきた。

「戦争末期に妹が餓死するのを見届けた野坂さんは『二度と飢えた子供の顔を見たくない』と話していました。それこそ国の理想でしょう。この言葉でもいいですし、福島第1原発事故が起きた今『放射能の中で育つ子供を見たくない』としてもいい。心に訴える一文を憲法にしてもおかしくない」と語った。

今、憲法の危機を実感するとともに、この事態を招いた責任は自分たち戦争世代にあると受け止める。「戦争を体験していない人に恐ろしさや愚かさをどう伝えればよかったのか。私たちは考え、行動してきたつもりですが、怠慢だったかもしれませんね……」。

井上さん、小沢さんは世を去った。「みんなラジオ世代。小沢さんは『戦争を語れるのはラジオ世代』と言っていた。でもね、次から次へと亡くなった……」。ステッキを握る両手が小刻みに震えていた。

ではテレビ世代はどうか。「安倍晋三首相や橋下徹大阪市長ら今の政治家は冗舌な人ばかり。言葉が滑っていて責任を感じて話していない。世の中がどう受け止めているかも想像していない人ばかりだから、憲法を大切にしない」

「あと何分ありますか?」約束の取材時間が終わりに近づいたころに永さんが尋ねた。この後、ラジオ番組の打ち合わせが入っているのに、永さんの言葉は止まらない。

「憲法9条はね、理解する、しないではなくて愛すればいいんです。守るということでは『攻める、守る』という発想になり、守る方が弱くなりがちです。ならば愛すればいいんです」

「そしてね」と話は東日本大震災に。「大量のがれきはショックでした。ただ、私たちは戦争のがれきを見ている。原爆を投下された広島、長崎はもっと悲惨でした。

けれども『戦争のがれきは津波の比じゃない』と声を出して言えていない。憲法9条を考えるためには、もっと戦争の恐ろしさを伝えないといけないのです」

安倍首相は「震災復興を最優先」と口にするが、「本音は憲法改正」と聞こえるのはなぜだろう。「同じ被災者でも家を流された人、流失を免れた人というような差がこれからより鮮明になる。地域が割れないような対策を政治家は考えるべきです。憲法改正を議論するのは被災地が復興してからでもいい。順番が違いすぎませんか」

いつしか「永六輔節」に引き込まれ、もっと聴きたいと思う自分がいた。「憲法改正は急ぐ必要はありませんよ」。こう語って打ち合わせに向かう永さんの後ろ姿はとても大きく見えた。「伝える」という役目を背負い、この人はマイクに向かっている。きっと、命のある限り。

◇えい・ろくすけ

1933年、東京都生まれ。放送タレント、作詞家、作家。49年ごろからNHKのラジオ番組「日曜娯楽版」にネタを投稿し放送に関わる。早稲田大第2文学部在学中に放送作家、司会者としてデビュー。「上を向いて歩こう」「こんにちは赤ちゃん」など作詞多数。94年の「大往生」(岩波新書)はベストセラーに。

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