原発のない社会をめざして 小泉元首相発言を「原発ゼロ」の追い風に

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小泉元首相発言を「原発ゼロ」の追い風に

今回は、BLOGOSというサイトに載っていた世田谷区長の保坂展人氏の意見を転載いたします。








【小泉元首相発言を「原発ゼロ」の追い風に】
BLOGOS 2013年10月15日

3・11から2年半。日本では「原発再稼働」「原発再依存」とでもいうべき動きが強まっています。3週間前に、私は「『原発ゼロ』へ 小泉元首相の問いかけ」という記事を書きました。この小文に対して思わぬ反響がありました。議論となったのは、次の部分です。

<小泉元首相自身、原発推進政策を進め、東日本大震災と原発事故が起きる前は「脱原発」を真剣に検討したことはなかったと思います。ただし、足元の事故と世界の動向を見すえたうえで、発想を転換するのは今しかないと考えるに至ったのだとすれば、評価できる発言だと思います>

ツイッター上で賛否は分かれました。「その通り」と言う人よりも、「とんでもない。今ごろになって小泉氏に脱原発を語る資格はない」「彼は首相時代も原発推進を進めた張本人。東京電力福島第1原発事故を引き起こした責任を認め謝罪することから始めるべき」「こんな見え透いたパフォーマンスを評価するとは残念」などの声が次々と届いたのです。

また、このタイミングで小泉氏が「原発ゼロ」を叫ぶのは何かの策謀、仕掛けがあるのではないか。簡単にその手に乗るのは危険だ、という懸念の声もありました。

私のツイッターをフォローしてくれている人には、3・11以後に「脱原発」を真剣に願い、発言・行動してきた人が相当数いると思います。従って、一般的な世論というより、「脱原発」を主張する人々の中からあがってきた声ととらえることができます。

じつは私は、小泉政権が誕生して支持率78%となった就任時から引退する最後まで、「小泉構造改革」に対しては批判派でした。元首相とも、何度か噛み合わない論戦を国会で交わした記憶があります。規制改革の名のもとに非正規雇用が広がり、格差や貧困が深刻化することに対して憤りを持ったひとりです。

ただし、あまり知られていないことも紹介しておきます。安倍政権で再浮上している「共謀罪」を最終的に止めたのは当時の小泉首相その人でした。郵政選挙で衆議院では圧倒的多数の議席数があり、参議院でも与党優位だった2006年4月。衆議院法務委員会は、この共謀罪を「強行採決」する予定でした。これを止めたのは官邸からの小泉首相の電話だったと聞いています。側近には「平成の治安維持法をつくった総理と言われたくない」と漏らしたそうです。詳しくは『共謀罪とは何か』(海渡雄一・保坂展人著・岩波ブックレット)をご覧下さい。

まさに、「強行採決」直前に小泉氏は独特の動物的なカンで反応し、待ったをかけたものと思います。当時の河野洋平・衆議院議長が与野党に話し合いを呼びかけるという形で、審議継続となりました。ここまでの事態をつくりだしたのは、国会での徹底した審議を求めた野党や世論の盛り上がりであったことはもちろんですが、「1本の電話」が決定打になったのだと思います。 

私は、日本が「原発ゼロ」に向けて方向を決め、1日も早く歩み出すことを強く願っています。だからこそ今回、小泉元首相が「原発ゼロ」を提唱し、積極的に発言していることを歓迎します。「原発ゼロを今こそ選択すべき」という主張は、私自身が3・11から2年半、言い続けてきたことでもあります。 この発言について、復興庁政務官の小泉進次郎氏は7日、「国民の間で釈然としない気持ち、なし崩しに(原発依存に)行っていいのかという声が脈々とある気がする」と語って、父親に理解を示したそうです。

政治は、よりよい結果をつくるために存在するはずです。現在の衆議院と参議院で多数派となった安倍政権は、電力会社も含む経済界とともに「原発再稼働」に突き進もうとしています。このままだと、福島第1原発事故で避難をしている16万人の人々の声がかき消されるように、日本はふたたび「原発依存」の道に戻る流れにあります。

「原発再稼働」「原発再依存」について世論は慎重です。朝日新聞のアンケート調査によると、東京電力福島第1原発の汚染水問題をめぐり、安倍首相が東京五輪の招致演説で「状況はコントロールされている」と発言したことについて、「その通りだ」と受け止めた人は11%にとどまり、「そうは思わない」と答えた人は76%にのぼっているそうです。

「原発ゼロ」に否定的な議員の多い自民党政権ですが、「原発再稼働」と「原発依存のエネルギー政策への回帰」については明らかに、「世論と永田町とのねじれ」が生じているのです。

ここまで世論が現状を厳しく見ているにもかかわらず、政治の場で、「原発ゼロ」の流れが強まらないのは、野党の側に責任があると感じます。議席数による力の差だけではなく、志や理念に根ざした知恵を総結集しなければ、原発依存への流れを押し返すことはできないように思います。

「原発ゼロ」は実現可能だし、逆行をしてはならない。1度でも逆行を許すと、無為な時間を費やすことになりかねません。定期点検などによって原発がすべて停まっている今がチャンス。ひとりでも多くの味方をつくるのが、私の役割です。

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