原発のない社会をめざして 金子勝、古賀茂明、小熊英二ほか小泉の「原発ゼロ」提言—私はこう考える

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金子勝、古賀茂明、小熊英二ほか小泉の「原発ゼロ」提言—私はこう考える

【金子勝、古賀茂明、小熊英二ほか小泉の「原発ゼロ」提言—私はこう考える】
週刊現代 2013年11月9日号

かつては原発推進派だった小泉純一郎元首相が考えを改め、愛弟子・安倍首相に「脱原発」を決断するよう迫っている。原子力の専門家、識者、かつての仇敵が、小泉「原発ゼロ」提言の意味を語った。

■言ってることは正しい

社会学者で慶應大学総合政策学部教授の小熊英二氏は、小泉純一郎元首相が「原発ゼロ」を提言していることについて、こう語る。

「この国には脱原発しかないということを、直感的に感じ取っているのではないか。ご自分の政治的利害が動機での発言とは思いません。利権があるわけでもないし、影響力を誇示したがるタイプでもない。民意が反原発に傾き、脱原発の流れが定着したと感じ、発言しているのだと思う。小泉発言の効果として、世の中に『自分が脱原発だと言っていいんだ』と思わせたことが挙げられます。国民レベルでも、マスメディアや議員のレベルでも、『小泉さんが言うんだったら自分も意見を言っていい』、つまりまさしく『やればできる』と思わせた。これは大きな功績でしょう。だから各自が自分で声を出すべきです。英雄待望論で『小泉さんが脱原発をやってくれる』と『お任せ』にするのは良くない」

脱原発を訴える「小泉節」が止まらない。この1ヵ月あまりの間、元首相の「反原発活動」は活発さを増すばかり。各地で行われた講演会で開陳された小泉氏の提言の内容は、以下のようなものだ。

「いまこそ、政府・自民党は『原発をゼロにする』という方針を打ち出すべきです。原子力が安くてクリーンなエネルギーだと信じる人はもういないでしょう。東日本大震災、津波、原発事故—。未曽有の危機を、チャンスに変えるべきときが来ているんです。『やればできる』は魔法の合い言葉だというが、いままさに原発ゼロの、自然を資源とする循環型社会の実現へ政治が決断し、国民が結束すべきときです」

そして、放射性廃棄物の最終処分場があるフィンランドのオンカロを視察した経験から、その処分場を建設する目処が立たない日本で原発政策を進めることは無責任である、と主張しているのだ。

長年にわたって反原発の活動を続けてきた京都大学原子炉実験所の小出裕章助教はこう見解を述べる。

「正直に言って、私は小泉さんのことは大嫌いです。彼は、新自由主義の経済を推し進めた政治家で、弱い立場の人たちを痛めつける性格の人ですから。彼の行動についても、何の期待もしていません。ただし、いま彼が言っていることは正しい。原子力発電は止めるべきだし、自民党が、安倍首相が止めると言えば一挙に止められる。まことにまっとうなことを言っていると思います。私は即刻原発をゼロにしろ、と発言し続けてきました。しかし、原子力を推進する人たちからは決まって『無責任なことを言うな』と批判されてきた。小泉さんもまったく同じような発言をし、周囲から無責任だと批判された。彼は『核のゴミの始末もできないのに、原発を続けるほうが無責任だ』と切り返した。まさにその通りでしょう。自分たちが生み出すゴミの始末もできないまま、原発行政をやってきた。それ自体が無責任の極みだったわけです。そのことを十分に反省すべきです」

元経産官僚の古賀茂明氏は「小泉氏が説く『脱原発論』には、政治的な打算はない」と分析する。古賀氏も、小泉氏の「原発ゼロ」提言を評価する一人だ。

「純粋に『原発ゼロ』という自らの信念を口にしたのではないでしょうか。昔の小泉さんには、強いリーダーとして政治的なメッセージを打ち出し、先頭に立って有無を言わさず国民を引っ張ってくれるというイメージがあった。ただ現在の小泉さんには、そのような力はないでしょう。小泉さんは『狼煙』は上げました。しかしその方向へ進むことになるかどうかは、結局国民がどう行動するかです。狼煙が上げられた後に、小泉さんを押し上げるようなムードができるかどうか。国民が盛り上がって、原発反対デモが再び盛り上がってくるような、政権が無視できない大きなうねりが生まれれば、それに乗って、小泉さんが次の行動に移る可能性はないとはいえない」

■信用してもいいのか

小泉氏は、首相時代には「原発を主力エネルギーとする」と公言していた。そんな人物がいまさら何を言うか、という意見もあるだろう。小泉氏が首相在任時に掲げた、新自由主義的な経済政策を批判してきた慶應大学経済学部教授の金子勝氏は、原子力ムラの構造を批判し、一貫して反原発を訴えてきた人物でもある。

金子氏は「福島原発事故とオンカロを視て、反原発の考えになったというのは、話としてはおかしくない」と言いつつも、小泉氏の提言については懐疑的だ。

「小泉純一郎という人間は、世論を利用して権力を掌握するタイプの政治家であり、典型的なポピュリストです。原発に限らず、彼は無思想なのではないでしょうか。要するに、権力だけ、政局だけに興味がある人です。総理を辞めて、体力が回復してきたので、目立つことをやりたくなったのかもしれない。息子の小泉進次郎氏が政務官になったことで、張り切っているようにも見える。様々な要因が重なって、『原発ゼロ』提言につながったのでしょう」

結局、10年前に「小泉劇場」で散々見せつけられた、政治的な勢力争いが、脱原発の旗のもとに再び展開されるだけでしかないというのだ。金子氏が続ける。

「安倍政権が現在のような政策をやっている限り、福島第一原発事故は絶対に収束しません。汚染水対策で計画されている凍土遮水壁などは一時的な手段で、半永久的に防げるわけがない。海側だけの遮水壁になったのも、カネをケチり、予算を十分に準備できなかったからです。この体たらくでは、いずれ収束計画は破綻してしまう。そうなれば、東京オリンピックなんて言っていられません。自民党がこのまま、原発推進で突っ走って失敗してしまえば、目も当てられない状況になってしまう。脱原発に切り替えることで野党の協力を得て『一生懸命やったけどダメでした』というかたちにしたい、と小泉さんは考えているのでしょう。もちろん、本当に国を挙げて脱原発の潮流が起こり、再稼働を阻止して具体的な方策を取るのであれば、歓迎すべきことではあるのですが」

脱原発を公約に掲げ、先の参議院議員選挙で当選した山本太郎氏も、小泉提言には疑問を持つという。

「小泉さんの『原発ゼロ』提言が本物であるかどうかは、有権者である国民が、しっかりとチェックする必要があります。小泉さんには、いま実際に被災地が直面する被曝の問題についても聞いてみたいですね。『脱原発』は発言できても『脱被曝』は口にしていない。いまも、高線量の地域なのにもかかわらず、安全といわれて暮らしている方々がいる。子供たちの避難、避難の権利についてはどう思うのか、小泉さんに問いかけたい。本当に脱原発を考えているかどうかの『踏み絵』を踏ませることになります。地震大国である日本が、原発による発電を放棄しなければならないことは明らかなことです。脱原発は、当然の政策です。その意味で、小泉さんは当たり前のことしか言っていません。小泉さんの提言については、喜ばしいことと思うのと同時に、懐疑的な見方もしてしまいます」

■再登板はあるのか

山本氏は、小泉提言は原発再稼働を推進する自民党の、一つの「受け皿」になるのではと見ている。

「現在の安倍政権は極右政権であるばかりか、原発再稼働というとんでもない道に日本を導こうとしている。そんな中で、小泉さんは、自民党の中にもブレーキがあるというアピールをしているように思えます。また、政権にしてみれば、自民党に対して直接的な影響力を持たない小泉さんが『原発ゼロ』を宣言したところで、マイナスはない。これから消費税増税がはじまり、政権の足元は揺らぐ。そうだとしたら、次に選挙になったときに、自民党の中で票を逃がさないための求心力が必要とされるわけです。自民党内に『脱原発』という動きがあることをアピールしておくために、小泉さんの提言は絶妙のタイミングだった」

日本では数少ないリーダーシップを発揮できる政治家として、小泉氏の言動は、海外からも注目を集めている。なかでも『ニューヨーク・タイムズ』紙は「かつて原発推進派だった元首相が、原発全面禁止を望んだ」と題した社説を掲載(10月15日付)。その変節ぶりを大きく報じた。

同紙東京支局長のマーティン・ファクラー氏はこう語る。

「小泉氏が再び表舞台に立つきっかけとして、原発の問題を選んだことは興味深い。この問題が今の日本にとって極めて重要であると感じ、それについて沈黙を破らなければならないほど喫緊の問題だと感じているのだろう。世論をみると、日本人の大半は原発再稼働に反対している。これは原子力に対するアレルギーというよりはむしろ、政府に対する不信、もっと言えば東電や電力業界を厳格に監視する能力に対する不信が原因だ」

国民に原発へのマイナス感情があるにもかかわらず、原発推進を打ち出す自民党が選挙で圧勝したことは、「理解しがたかった」とファクラー氏は語る。

「反原発の世論をリードする、有能なリーダーがずっといなかったのが理由かもしれない。いままでの野党の党首では、力不足だったということだ。小泉氏がそのリーダーになるのかどうか、あるいはなりたいのかどうかはわからない。しかし、少なくとも公に口を開くことで反原発の感情をまとめあげ、具体性を持たせることに貢献するだろう。これまでの首相の中で、彼は最も人気がある首相の一人であることは間違いない。さらに小泉氏はリベラルのみならず、保守派であっても反原発派になりうると自ら示す存在でもある」(ファクラー氏)

自民党内も、原発推進で一枚岩というわけではない。小泉提言は、党内にも波紋を広げている。脱原発派として知られる河野太郎氏は「(原発ゼロ提言を)全国津々浦々で広めて欲しい」と語り、小泉進次郎政務官も「なし崩し的に(原発再稼働をして)本当にいいのか」と述べている。

「小泉元首相の提言は、私もそうですが、とくに子育て世代にとっては共感できるものだと思います」

そう語るのは、超党派の「原発ゼロの会」に所属する、自民党の長谷川岳参議院議員だ。長谷川氏は、小泉提言のタイミングに注目する。

「参院選が終わって自民党の安定政権が発足し、臨時国会が召集される直前のタイミングで提言された。政権を揺るがそうというわけではなく、政権が安定したからこそ、取り組むべき課題だということを示したかったのでしょう。もし政権が不安定な状態で発言すれば、小泉提言は単に政争の道具にされたかもしれない。そうではないタイミングを狙ったというのは天才的だと思います。小泉さんの発言は、大きな意味を持つアクション。実際にこれからどう原発ゼロを進めるかは、われわれ国会議員の仕事です」

小泉氏が再び矢面に立ち、自民党内の脱原発勢力を結集して、野党を巻き込んだ「原発ゼロ」ムーブメントを作り出す。そんな展開も考えられるかもしれない。ただし、前出の古賀茂明氏は、その可能性は低いと考える。

「小泉さんが、若いリーダーを後押しする、ということはありえたかもしれません。しかし現状では、サポートする対象となるような、力がある若手リーダーが見当たらない。もし小泉進次郎政務官がもう少し経験のある、中堅議員だったら盛り上がったかもしれないですね」

野党のなかにも、小泉氏との共闘を探る動きがある。小泉氏のかつての仇敵である菅直人元首相も、福島原発事故を契機に、反原発へと考えを改めた政治家だ。「小泉さんの提言は大歓迎」と言う菅氏は、小泉氏はドイツの例を参考にしているのではないか、と指摘する。

■やればできる

ドイツでは'98年に社民党と緑の党の連立によるシュレーダー政権が発足した際に、2022年に原発をゼロにする方針が決定された。しかしその後、保守党に政権は交代。メルケル首相のもと、2022年廃止案は延長されることになった。

しかし、2011年、福島の原発事故を契機にドイツの脱原発の気運はかつてないほど高まった。メルケル政権は事故から1週間足らずの間に、延長案を凍結。脱原発を打ち出すことで、高い支持率を得た。つまり、ドイツ国内は「原発ゼロ」でまとまったのだ。

「以前からわれわれ民主党は『2030年代に原発ゼロ』と主張しているし、多くの野党も脱原発すべきだと主張している。日本でもドイツと同じように、リベラルと保守がともに反原発で一致することがありえる。自民党が、小泉さんの主張を受け入れれば、『原発ゼロ』への反対勢力は政治的にはなくなるのです。そういう意味で小泉さんが『安倍首相が決断すれば原発ゼロは可能だ』と言うことには意味がある。自民党の、元首相が言うというところに、重みとリアリティがあるんです」(菅氏)

どんな思惑があるにしろ、小泉氏の提言は、国民に「原発ゼロ」の可能性を考えさせる契機になった。ただ、前出の小熊英二氏が「小泉氏にお任せにするのは良くない」と語るように、「原発ゼロ」提言を一方的に甘受するだけではいけないだろう。前出の金子勝氏は言う。

「脱原発は、絶対にやらなければならない政策です。しかし、小泉さんが危険なのは『小泉劇場』を作って国民を『観客』にしてしまうことです。自ら思考せず、行動を伴わない第三者にしてしまう。国民的な思考停止が、原発安全神話を蔓延させて、福島第一原発事故を招いたことを忘れてはいけません。一般国民も賢くならないといけない。自分の頭で考えて、日本のエネルギー政策を選択するということが大切です」

小泉氏が言う通り、原発ゼロは、やればできる。後は決断するだけなのだ。

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