原発のない社会をめざして 室井佑月 「この国の指導者は楽をしたがってる」

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室井佑月 「この国の指導者は楽をしたがってる」

今回は、週刊朝日に連載されている作家の室井佑月さんのコラムをご紹介いたします。以下…









【室井佑月 「この国の指導者は楽をしたがってる」】
週刊朝日 2014年3月21日号

先月、原発エネルギーを「重要なベースロード電源」と位置付ける旨を政府が決定した。作家の室井佑月氏は、政府のこうした「言葉による印象操作」について次のように話している。

新聞などを見ていると、「消費税増税」は「消費増税」という言葉に変えられ統一されたようだ。去年、ジャーナリストの斎藤貴男さんがこのことについて批判していた。「消費増税ではない。消費税増税というべきだ」と。

だよね。消費増税っていうと、消費が増え景気が良くなったから税金を増やすという意味みたい。細かいことかもしれないが、言葉による印象操作の影響は案外大きい。だから、この国のエリートである役人は、ちまちま言葉を変えてくる。

2月25日に、また新しい言葉が出て来た。それは「重要なベースロード電源」というもの。翌日の東京新聞にはこう書かれていた。

「政府は二十五日、中長期のエネルギー政策の指針となるエネルギー基本計画案を決めた。自民、公明両党が政権に復帰した二〇一二年の衆院選で掲げた『脱原発依存』の公約を無視。逆に、公約にない『重要なベースロード電源』と原発を位置付け、原発の維持・推進方針を明確にした」

これからは原発エネルギーのことを「重要なベースロード電源」といい直さなきゃならなくなるのかしら。そして、この言葉が普及するようになったら、重要なエネルギーは原発で決定、ってことになってたり?

以前、このコラムに書いたことがあるのだが、原発事故後、汚泥の問題が出て来て、それを無理矢理「スラッジ」と呼ばせたい輩が出て来た。汚泥をスラッジという呼び方に変えたところで、汚泥問題がなくなるわけではない。そんなところに頭を使っている場合か、腹立つ! それがあたしの感想だった。

たぶん、この国の指導者たちは、問題解決にあたっての説明を国民にするのは、はなから面倒臭いとか、馬鹿らしいとか思っているに違いない。特定秘密保護法についても、集団的自衛権の行使についても、おなじように考えているのではないか。

集団的自衛権の行使について反対すれば、「じゃあ、日本が他国に攻められたとき、どうするわけ?」という人がいる。

でも、それは集団的自衛権の話ではなく、個別的自衛権の話だ。集団的自衛権とは、お仲間の国のために、日本人も海外で戦えるってことでしょう? もっとはっきりいえば、アメリカにいわれてってことじゃないのか?

国際協力をしておけば、いざとなったとき日本も助けてもらえる、という人もいる。けどそれは、外交努力で日々頑張って欲しいところだとあたしは思う。そう思っている国民がいる以上、丁寧な説明が欲しい。

集団的自衛権にしても、TPP参加にしても、言葉の言い換えにしても、この国の指導者たちは、楽をしたがっているようにしか思えない。結果は国民に押し付けるくせに。

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