原発のない社会をめざして 美味しんぼ"バッシング騒動について(音声)

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美味しんぼ"バッシング騒動について(音声)



【美味しんぼ"バッシング騒動について(音声)】

今西憲之:今年の5月に連載されておりました漫画『美味しんぼ』の問題、大きな騒動になりました。『美味しんぼ第604話 福島の真実その22』で登場する山岡さんという記者の方が、 福島第一原発の内部で取材をしたと。その後、疲労感を覚えたり、原因不明な鼻血を出したという体調の異変を訴えたシーンが描かれました。これについて、非常に大きな論議を呼びました。小出さんもあちこちからコメントを求められ、いろいろお答えになられたというのを私も記憶しているんですけれども。実際にこのシーン、漫画で読まれて率直な感想はいかがでしたでしょうか?

小出さん「そのシーンというよりですね、この美味しんぼという漫画がとても素晴らしい漫画なんだなと、まずはそう思いました。今回のテーマも福島の原発の事故を取り上げて下さって、その中で苦難のどん底に落とされた被害者の方達がたくさんいるわけですけれども、その方々に寄り添おうとする姿勢がはっきりと出ていて、私としては大変ありがたかったし、こういう漫画が今存在してくれているということをありがたく思いました。その上で鼻血のシーンですけれども、要するに事実として描いたというだけのことであって、何ら問題のないはずだし、どうしてこんな事が大騒ぎの原因になるのか、それこそが私にとっては不思議でした。 」

今西「そして、前福島県二葉町長の井戸川さん、ラジオフォーラムにもゲストに以前出ていただききましたが福島では同じような症状を訴える人がたくさんいらっしゃいます」ということで、鼻血について述べられた。こういう事実、井戸川さん自身も鼻血が出ている。」

小出さん「そうです。彼自身もたくさん何度も鼻血を出しているわけですし、ちゃんとその事実というか写真でも示してくれていますし、もちろんたくさんの人が鼻血を出しているわけで、私自身もたくさんの人から鼻血が出たという話を聞いています。」

今西「なるほど。にも関わらず、おまけにこれは漫画ですよね?」

小出さん「はい。 でも、漫画だから許されるということはないでしょうから、もちろんちゃんと議論はしていいと思いますけれども、でも、鼻血が出た、あるいはそれを漫画が取り上げたからといって一体何なんだと私はまずは思いました。」

今西「なるほど。それで、石原環境大臣筆頭にいろいろな政府の要職の方が「放射能と鼻血の因果関係は一切ない」と述べるなど、猛烈なバッシングが展開された訳ですよね。どうしてここまでバッシングをしなければならないのか。やはり、この背後には、原発を再稼働したいという原子力ムラの影が見え隠れするのかなと思ったりしたのですが、小出さんいかがでしょうか?」

小出さん「もちろんそうだと思います。しかし、石原さんにしても官房長官の菅さんにしても、いわゆる自民党の要職にあるわけです。そして、福島の事故を起こした責任って一体誰にあったのかと言えば、福島の原子力発電所が安全だとしてお墨付きを与えた自民党にこそ、私はあったと思います。それなのに彼らは何の処罰も受けない。そして、謝罪もしないまま、単に鼻血が出たという事実を描いただけの漫画を攻撃するということになっているわけです。まことに異様なことだし、多くのマスコミが何かその鼻血が出たと報道した漫画自身がおかしいというようなことに加担したわけで、随分おかしな世界だなと私は思います。」

今西「なるほど。そうですよね。事実、自民党の国会議員の方も国会の場で鼻血について質問をされておられる方までいらっしゃった。」

小出さん「そうです。事実出ているわけですから、そんなことは出たということはただ事実であって、それが一体どういう原因で出たということを科学的に突き止める責任は、まずはその事故を引き起こした自民党にこそあるはずなのですけれども、ただひたすら鼻血と被ばくの因果関係を否定するという、そういう行動に出てきたわけですね。私は全くおかしいと思いますが、彼らとしては日本中の原子力発電所を再稼働させたいわけですし、一刻も早く福島を忘れさせてしまいたいわけですから、何としてもこういう被害を否定したいと思ったのだと思います。」

今西「なるほど。それで実際、科学的根拠があるという意見もあればないという意見、いろいろ紹介されました。やはり大事なのは、まず正確な情報を得るということが一番必要ではないかなあと思うのですが。」

小出さん「そうです。これまで蓄積されてきた被ばくと被害の因果関係を証明するデータというのは、主要な部分は広島・長崎、原爆被爆者にあったのです。その被ばくの仕方というのは、瞬間的に大量な被ばくを外部から受けたという、そういう被ばくの形式に対しての被害が、データとしてだんだん蓄積されてきたというわけですけれども、今回の場合には、おそらくそうではなくて、外部から全体的に被ばくを受けたというのではなくて、鼻なら鼻の部分だけ局所的に被ばくをしたという、かなり特殊な被ばくの仕方というのがあり得たと私は思いますし、そういう事をキチッと検証しなければいけないはずなのですが、いわゆる科学の常識に従って、これまでのデータだけで判断してしまうという、誤りを多くの方が犯したと思います。」

今西「なるほど。過去の例にない被ばくの仕方をされたのではないかということですね。」

小出さん「はい、福島の事故なんていうのは、人類が初めて遭遇している事故なわけであって、過去の経験では分からないような被ばくの仕方というのは、あるはずだと私は思いますし、科学というのは一歩一歩、事実と経験を蓄積していかないといけないものなわけですから今、進行してる福島の事故、そしてその汚染からの被ばくということにもっともっと謙虚に向き合うべきだと思います。」

今西「ありとあらゆる可能性を想定しながら徹底的に調べることが大事ではないかということですね。」

小出さん「そうです。それが科学的な態度だと思います。」

今西「なるほど。なるほど。けども、その科学的な態度がなかなか実際問題、実践されてないというのか。」

小出さん「まあ、政治家の方々に科学的な態度を求めるというのも、おかしな話ではありますけれども、でも、政治家の人というのは、やはり人々を守るというのが一番の大切な役割だと思いますし、頭から、もう被ばくと被害の因果関係がないというような発言をするというのは、まことに政治家としてもおかしいと思います。」

今西「そうですね、はい。それでですね、私この『美味しんぼ』のバッシング騒動を見ておってですね、やはり、ひとつマスコミでも欠けておったところがあるかなあと思うんですね。実際に、その記者として描かれていた山岡さんという方ですね、この方が実在するのかどうかっていうのを確認したマスコミはないと思うんですよね。」

小出さん「なるほど、はい。」

今西「漫画で一応、架空の人物とされておるのですけれども、ひょっとすれば作者の刈谷さん、取材をされておられてそういう方がいらっしゃった。ただ、何らかの事情で実名を出しておられないとう可能性もある訳ですよね。」

小出さん「はい、私は少なくとも『美味しんぼ』という漫画を見た限りでは、極めて緻密な取材をしたんだなと感じましたので、きっともちろん、山岡さんという名前ではないと思いますけれども、実在の方がいらっしゃると思います。」

今西「そうですね。いや、そこが私もマスコミの仕事に関わりながら非常に大きな反省点かなあと、問題点かなあと思ったりするのですけれども。『美味しんぼ』、今、一時休載という形になっておるのですけれども、どうでしょう小出さん、ぜひ続けてほしいなあと私は思ってるんですが。」

小出さん「はい、もちろん私も思います。こういう優れた漫画が今この時にあってくれたことを有難く思いましたし、これからもどんどん活躍してほしいと願います。」

今西「そうですね。ぜひ、今後も福島のことを描いて頂きたいなあと思います。はい、小出さん今日はありがとうございました。」

小出さん「はい、ありがとうございました。」

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