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長渕ファンたちがデモ! 川内原発再稼働反対を訴えた

【長渕ファンたちがデモ! 川内原発再稼働反対を訴えた】

日刊SPA! 2014年10月19日

10月18日、ミュージシャン・長渕剛さんのファンら約40人が結集し、東京・浅草から上野までをデモ行進した。彼らが訴えたのは川内原発再稼働反対。なぜ、長渕ファンたちが反原発を訴えたのか? 事前に行われた今回のデモの主催者へのインタビューに加え、デモの様子をリポートする。

今回のデモのタイトルは「男たちの脱原発」。長渕さんが主題歌を歌った2005年の映画『男たちの大和/YAMATO』から着想を得たものだ。デモの主催者である大石規雄さん(45歳)は元々は一水会などの新右翼界隈を「ウロウロしていた」(本人談)人物で、2011年の原発事故以降は「右から考える脱原発デモ」という保守勢力が主催したデモを手伝ったりしていたという脱原発派。最近脱退したというが、「レイシストをしばき隊」やその後身である「C.R.A.C」などにも参加し、ここ1年半ほどはアンチレイシズム運動に力を入れてきたアクティビストだ。なので、反原発デモを主催することはなんの不思議もないのだが、やはりどうしても「なぜ、長渕?」という疑問が沸いてくる。

「実は自分でデモを主催するのは初めてなんです。そのきっかけは、長渕さんの故郷である鹿児島にある川内原発が着々と再稼働に向かっている今、長渕ファンは声を上げなくていいのか、という思いから。震災、そして原発事故以降、長渕さんは積極的に『原発を止めたい』という発言をされていますし、『カモメ』という曲では『止めてくれ/原発を/止めてくれ/今すぐ』と直接的に歌われています。長渕さんは充分に動かれた。では、ファンである我々は動かなくていいのか?」

原発事故後、長渕さんが報道番組の中で「子供たちにこれからの責任を負わせてしまった。この子供たちの笑顔と原発、どっちが大切なんだろうと言われたら、僕は子供たちが大事。そして、原発を今すぐにでも止めたい」という旨の発言をしていたのを聞いて号泣したという大石さん。さらに大石さんを動かしたのは長渕剛さんの名曲「Captain of the Ship」の一節にある「決めるのは誰だ? やるのは誰だ? 行くのは誰だ? そう、お前だ! お前が舵を取れ/お前が行け! お前が走れ! お前が行くから道になる」という歌詞だという。

「このデモを立ち上げてから、一部の長渕ファンからは『長渕さんを政治利用するのか』という批判も受けています。でも、音楽をただ消費しているだけでいいのか? 僕は『Captain of the Ship』の『お前が行け!』という歌詞を馬鹿正直に受け止めて、行動に出ることにしました。長渕ファンのなかにももちろん、いろいろな考えはあると思いますが、『長渕ファンならば今のこの状況、あなたは平気なの?』と聞きたいぐらいですね。ただ、もしも長渕さん本人から『やめてくれ』と言われたら、すぐにでも長渕ファンとしての脱原発活動はやめますが(笑)」

実際に長渕ファンが集まって脱原発を訴えたところで、どこまで世論に訴えかけられるかはわからない。だが、「とにかくやる」と決めた大石さんの決意は熱い。「まずは東京でこのデモを開催し、鹿児島の長渕ファンが立ち上がってくれれば」と語る大石さんに、デモ当日も密着した。



デモ当日。大石さんは長渕さんの名前が書かれたタオルを肩に羽織りながら、集合場所である浅草の花川戸公園に登場した。今回、なぜ浅草から上野というデモコースが選ばれたかといえば、上野公園にある鹿児島県の象徴ともいえる西郷隆盛の像を長渕ファンたちとともに目指すためだという。

デモに先立ち、大石さんが挨拶。続いて長渕さんが2011年に東日本大震災復興支援のラジオ番組で発表した散文詩『復興』と「原発を止めてくれ」という歌詞がある『カモメ』の朗読が行われたのち、デモ隊は上野を目指して出発した。

サウンドカーからは長渕さんの曲が大音量で流されるが、長渕さんが歌っているパートではデモ隊は言葉を発せずにプラカードを手に黙々と歩いている。だが、長渕さんの歌声が途切れて間奏部分になると「再稼働反対!」「鹿児島守れ!」とシュプレヒコールが上がるというデモにしては不思議な光景が繰り広げられた。長渕ファンたちが大声で歌いながら歩くのかな、と勝手にイメージしていたが、思っていたよりも大人しい印象だ。

デモ隊は浅草の雷門前や御徒町から上野にかけての目抜き通りを歩く。デモ隊に遭遇した人々に話を聞いてみると、「原発って再稼働していたんだっけ?」「デモ隊より警察のほうが多いんじゃない?」という反応もある一方で、デモ隊に手を振ったり長渕さんの曲に合わせて手拍子をしている人も見かけた。特に興味深かったのが話を聞いた大学生の男性グループの会話で、1人が「かわうち原発ってどこ?」と言うと、すかさず同行の男性が「バカ、『せんだい』だよ。『艦これ』でいるだろ」と突っ込む。言われた男性は「『艦これ』やってねーし、知らねーよ」と返していたが、記者も知らない。

さて、デモ隊は約1時間20分ほど行進し、ゴール地点の不忍池に到着して一旦解散。有志たちは西郷隆盛像前に集まり今日のデモを振り返っていた。そこで参加者たちに話を聞くと「長渕さんが3.11以降、さまざまな活動をされているのを知っていたので、今日のデモに馳せ参じました」という人から「長渕さんの歌はあまり聴いてこなかったけど、今回のデモをきっかけに『カモメ』を聴いて、原発についてちゃんと歌っている人がいるんだなと思いました」という人まで、グラデーションはありながらも長渕さんの歌に共感したという声が聞かれた。

自身で主催する初のデモを終えた大石さんは「進行がつたなく、申し訳なかったです」と反省しきり。だが、今後もこのデモを続けていくのかと聞くと「政府が再稼働をあきらめない限り、僕らはやっていきますね。まだまだ力不足ですが、もっといろいろな人に来ていただけるようにしたい」と今後への決意を見せた。

長渕さんの「Captain of the Ship」の歌詞に以下のような一節がある。

「眉をひそめられ“でしゃばり”と罵られても『いい人ネ』と言われるよりよっぽどましだ」

まさにこの歌詞を地で行くような行動に出た大石さん。この「男たちの脱原発」という船をどのようにひっぱって行くのだろうか?

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