原発のない社会をめざして 脱原発世界会議ー開会式での肥田舜太郎(広島被爆医師)の講演

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脱原発世界会議ー開会式での肥田舜太郎(広島被爆医師)の講演

脱原発世界会議の開会式で、長年被ばく者のケアに関わってこられた肥田舜太郎医師の講演の様子です。



1945年にわたくしは軍医として広島陸軍病院に勤務し、原爆の日は、たまたま午前2時に6キロ先の辺坂村に往診して、原爆による即死を免れました。そのかわり逃げてきた多数の被ばく者の救急医療を行う事になりました。市内で即死を免れた者も、火傷や怪我に加えて、まぶた、鼻、口、肛門,陰部からも出血し、頭の毛が全部抜け落ちるという急性放射能症で死んでいきました。

当日広島におらず、原爆には合わなかったけれども、爆発後数日以内に市内に入り、救援活動や肉親捜しをしたものが、俗に言われたぶらぶら病というものを発症し、数十年間、「あなたには病気はない」とか、「ノイローゼだ」とか、ひどい場合には「仮病」と言われて悩みぬきました。

1975年に、ニューヨークで私は放射線被害の研究で有名なピッツバーグ大学のアーネスト・スタングラス教授に会い、入市被ばくのぶらぶら病は、体内に入った放射線に体の内部から被ばくして起こる症状で、有機的にはまだ不明な症候群であると教えられ、目から鱗が落ちた思いがしました。

1945年の9月1日、連合軍総司令官ダグラス・マッカーサーは厚木空港に降り立つと同時に、日本国民に占領方針を発表し、その中で「原爆被害は米軍の軍事機密である」と宣言。被ばく者には「被害の事実に際して一切しゃべってはならん」医師、学者には「被害の調査研究を行ってはならぬ」「違反者は重罪に処す」という、宣言を発表しました。

原爆の放射線被害が、世界の人にも日本国民にも伝えられてこなかった原因は、アメリカが放射線被害を隠蔽し続けた事にあります。また、1949年にアメリカが放射線被害の調査のため、広島と長崎に設立した医療機関ABCCは、「内部被ばくは放射線が微量で、人体にはまったく無害である」と宣伝し、入市被ばく者は診療をせず、その場から追い返しました。

日本政府は1957年と1968年の2回に渡り、いわゆる原爆日本と言われた援護の法律を作り国による被ばく者の援護を遅まきながら始めましたしかし、国は二つの法律が最高の補償を定めた認定被爆者から、内部被ばく者を除外するなど、法律制定から35年間、内部被ばく者を差別し続けてきました。

内部被ばくの被害を否定するのは、核兵器保有国であります。日本政府のそれは、アメリカの前線基地の任務を負わされた従属国の義務としか思えません。国を建てる上でその基本にかかわる重大問題であると私は思っています。

2011年3月11日福島第一原発に事故発生の報告を聞いた時、私は正直、大変なことが起こるなと直感しました。福島原発は広島原爆のウラニウムと長崎原爆のプルトニウムを混ぜたプルサーマルを使用しています。事故からの放射線被害を受ける人たちが、広島と長崎で被爆者に生じたのと同じ症状が起こってくるに違いないと、医師である私は推定しています。

2011年4月5日、「福島県の若い母親から5歳の男の子の下痢がとまらない」との相談の電話がありました。
必要な事を聞いて一番近い白河市の総合病院に行かせ、2週間の検査を受け「なんでもない」と帰されたそうです。


その後電話相談は数を増し、子どもの症状も、口内炎、鼻血、皮膚のあざなどだんだん増加して、地域も福島県から関東甲信越の各県にひろがり、講演に招かれた名古屋、京都、大阪でも会場からの発言で、子どもの下痢や鼻血で不安を募らせている母親の情報が伝えられました。12月に行った佐賀と福岡でも同じ話が聞かれています。

結局、福島原発からの放射線は3月15日の大量放出から、約300日間ずーっと続いていて、すでに日本列島の隅々まで、広範囲に飛散していると推定されます。

微量でも危険な放射線の内部被ばくのことを思うと、原発を廃炉にして放射線を完全に止めないかぎり、ホットスポットがどこに現れても不思議ではない。疎開や放射線の無い、汚染の無い食材の入手は、もはや無意味になっていると思われます。厳密に言えば、安全な場所は、日本にはもうないのです。

「どうしたらよいか」わたくしは相談を受けます。身を守るには遠くへ移住せよ。汚染の無い水と食材を食べろ。
この二つが指導されてきました。それが出来ない人はどうしたらいいのか。その答えは専門家と呼ばれた人は誰もしゃべっていません。

私は被ばく者のための医師として、被ばくの後遺症にならずに長生きする生き方を、30年間考え、指導してきました。その経験から、一つの結論に行きついたように思っております。それは、自分が自分の命の主人公になって、親からもらった免疫の力を守り、ひたすら健康に生きるよう、必死に努力する事しかないと思っております。

人類は地球上に生まれ出た時、明かりもなければ火も持っていませんでした。太陽とともに起き、太陽が沈むとともに寝る。そういう生活を何千万年も続け、自然放射線や紫外線から命を守る免疫を作ってきました。その基本の早寝早起きの健康の大原則を愚直に守る事が、親から引き継いだ免疫力を維持して病気を防ぐ唯一の道であるとわたくしは確信しています。あとは、食事、排せつ、睡眠、労働、遊び、休養、セックスの6つの行為を節度を守って行う事です。

行為には決まりがあります。その決まりはどこの国でも年寄りが伝えてきました。例えば日本では、おばあさんが「ご飯は30回噛め」と伝えています。調べてみると、立派な根拠があります。

お米の栄養はでんぷんで、胃液では消化できません。唾の中にある酵素ジャスターゼだけがでんぷんを分解して、小腸から吸収できるように変化させます。「30回噛め」というのは、噛みつぶすのではなく、30回舌を動かして、唾液をたくさん出し、必要なジァスターゼの量を供給するためであります。年寄りの言葉と思ってバカにしないで、守らなければならない恒例の一つであります。

私の話の結論。人間は、放射線を安全に操作することはできません。ですから、原発も核兵器もなくして、「安全な地球に住む」という事しかないわけです。ご一緒に頑張り抜いて、我々のひ孫に、綺麗な日本を残しましょう。

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